公的介護保険と民間介護保険の特徴とメリット・デメリットを比較

介護保険ときいて、公的な保険をイメージする人が多いのではないでしょうか。
40歳以上の人が被保険者になって納める介護保険料と税金で運営されています。

 

所定の要介護状態・要支援状態に認定されることで、介護サービスによる現物給付を受けられます。

 

また、介護保険にはもう1つ、民間の介護保険も存在します。
こちらは民間の保険会社が運営しており、所定の状態になった場合は金銭を受け取れる保険です。

 

今回は公的介護保険と民間介護保険の違いと、民間介護保険の必要性について解説します。

介護保険とは

介護保険は文字通り、介護が必要になった場合に給付を受けられる保険のことです。

 

ひとくちに「介護保険」といっても、公的な介護保険と民間の介護保険に分かれています。

 

それぞれの違いを見てみましょう。

公的な介護保険

公的介護保険は、全国の市町村や東京都23区が保険者(制度の主体)になり、給付金を支払う保険です。
お金や徴収された保険料に税金を足して運用されています。

 

税金負担部分は国が25%、都道府県が12.5%、市町村が12.5%の割合です。

 

介護サービスを受けるには原則1割の自己負担になりますが、前年の所得に応じて自己負担割合が2割あるいは3割になることもあります。

民間の介護保険

市区町村が保険者である公的機関の介護保険とは別に、民間の保険会社が提供している介護保険もあります。

 

医療保険やがん保険などと同じ「第三分野」の保険です。

 

公的な介護保険と同様に、要介護・要支援状態になった場合に費用負担を保障するほか、公的制度とは無関係に保険会社が給付条件を指定することもあります。

 

あくまでも任意の保険であり、加入して保険会社が定める所定の状態になった場合にのみ保障が受けられます。

公的介護保険は40歳以上の加入が義務

公的な介護保険の加入者は第1号被保険者(65歳以上の人)と第2号被保険者(40~64歳までの人)に分かれます。

 

どちらも保険料を支払う義務がありますが、サービスを受けられるのは原則として第1号被保険者の人です。

 

詳しくは後述しますが、第2号被保険者がサービスを受けるには、一定の条件をクリアする必要があります。

公的な介護保険の仕組み

介護保険は、要介護度に応じて支給限度額が決まっています。
基本的に要介護度のレベルが重いほど限度額は高くなります。

 

限度額を超えた場合でもサービスを受けることはできますが、全額が自己負担です。

サービス利用の条件

第1号被保険者の場合、要介護状態・要支援状態である場合に保険の対象になります。

 

ただし、第2号の場合は老化に起因する特定疾病で、介護認定を受けた場合に限ってサービスの対象です。

 

厚生労働省によると、特定疾病は以下の病気のことを指しています。

  1. がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)※
  2. 関節リウマチ※
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病※

    【パーキンソン病関連疾患】

  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症※
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

引用元:厚生労働省|特定疾病の選定基準の考え方

介護認定の手続き方法

介護保険サービスを受けるためには、要介護・要支援の認定を受ける必要があります。
要介護認定は介護保険の加入者が住んでいる市町村の介護保険の窓口担当に申請します。

 

役所の窓口で手続きのあと、役所から任命された認定調査員が自宅に訪れて日常生活の状況を聞き、身体機能を確かめる手続きが必要です。

 

1ヶ月ほどの待機期間のあと、認定結果が通知されます。

自己負担割合

介護保険は保険料と税金で賄われており、介護サービスを受けるときの介護負担は1割から3割の自己負担になります。

 

自己負担割合が1割になるか、2割・3割になるかは以下のように所得を計算して決定します。

  1. 本人の合計所得金額が160万円未満の場合、全員が自己負担1割
  2. 合計所得が160万円以上でも、年金収入とその他の合計所得の合計額が単身世帯で280万円、2人以上の世帯で346万円未満なら自己負担は1割
  3. 合計所得金額が220万円以上であり、年金収入とその他の収入の合計額が単身世帯で340万円、2人以上の世帯で463万円以上の場合なら自己負担は3割
  4. どちらにも該当しない場合は2割負担

民間の介護保険は任意で加入する保険

民間の介護保険は、公的な保険と比較して馴染みがない人も多いのではないでしょうか。

 

ここでは、民間介護保険の特徴とメリット・デメリットを見ていきましょう。

公的な介護保険との違い

公的介護保険と民間介護保険は何が違うのでしょうか。
実は同じ「介護保険」という名称であっても、そのサービス内容は全く異なっています。

加入方法

公的な介護保険は社会保険の1種で、40歳以上の人は強制的に加入になります。
会社員であれば介護保険料が給料から天引きされ、自営業者なら国民健康保険の納付書に介護保険料も含まれることになります。

 

一方の民間介護保険は民間の保険会社が販売しています。
申し込みには手続きが必要で、さらに、健康状態に関する告知を経て保険会社による審査が必要です。

 

つまり、加入したくてもできない人が一定数存在するということになります。

給付内容

公的介護保険と民間介護保険では、給付内容が異なります。

 

介護サービスという現物が給付されるのに対して、民間の介護保険では所定の状態になった場合に現金が支給されます。

 

具体的な給付内容は民間介護保険によって異なりますが、まとまった金額の一時金が支払われるものから年金形式で支払われるものまでさまざまです。

給付条件

公的な介護保険で給付を受けるには要介護認定という手続きが必要になります。
要介護認定は介護・支援がどのくらい必要かを個人ごとに判断してもらう手続きのことです。

 

一方の民間の介護保険の場合、給付条件が「公的介護保険に連動する」場合と「独自基準で判断する」という2種類があります。

 

公的保険との連動では、公的介護保険で要介護認定を受けた時に追加で給付を受けられます。
逆にいえば、要介護状態にならないと支給は受けられません。

 

もう1つの独自認定は保険会社が定めた独自基準に該当することで給付が受けられます。
要介護認定に関係なく給付を受けられる可能性もありますが、逆に要介護条件に該当するのに受け取れない場合もあります。

給付金額

給付額が要介護度に応じて設定される公的介護保険に対し、民間の介護保険では給付額を自分で任意に設定できます。

保険料免除の規定

また公的な介護保険には保険料が免除される規定はありませんが、民間の場合は保険によっては保険料が免除されることもあります。

民間介護保険のメリット

金銭的な安心感

公的介護保険に上乗せして民間介護保険に加入するメリットは、経済的な安心感が得られることです。

 

公的な介護保険といっても全額が自己負担1~3割になるわけではありません。
要介護度に応じた限度額が決まっているため、超過した分は基本的に全額が自己負担です。

 

民間の介護保険の給付があれば、このような自己負担をさらに少なくすることが可能です。

要介護度に関係なく給付を受けられる

給付の条件を保険会社独自で決めている保険の場合、公的な介護保険の対象者や対象疾患にかかわらず給付が受けられます。

 

公的な介護保険のように「第2号被保険者は特定疾病に罹患していること」といった条件がありません。

公的介護保険の対象にならない年齢でも保障される

公的な介護保険は40歳からの加入であり、それ未満の年齢で何かあったとしても保障されません。
さらに公的介護保険では40歳以上であっても、特定疾病でない限りは保障の対象外です。

 

一方の民間の介護保険であれば早期に加入することで40歳未満でも万が一に備えることができます。
さらに、交通事故などで要介護状態になった場合にも保障を受けられます。

民間介護保険のデメリット

保険料負担がある

デメリットとしては、やはり保険料の負担がネックになるでしょう。
公的な介護保険の負担は40歳以上では必ず発生してくる義務であり、そこに民間介護保険の保険料を上乗せして支払う必要があります。

給付の判断は保険会社ごとに異なる

民間の介護保険で「独自給付」の場合、給付が行われるかの判断が保険会社によって異なります。
そのため、要介護状態になっても絶対に給付が受けられるとは限りません。

インフレに対応しにくい

民間の介護保険は現金給付ですが、現金にはインフレに弱いという弱点があります。

 

将来的に貨幣の価値が下がって物価が上昇するインフレが起きたとしましょう。

 

所定の状態になった場合に100万円を受け取る契約で民間介護保険に加入していたとして、極端な話ですが、物価が2倍になった場合は将来受け取る100万円は今の50万円の価値しかないということになってしまいます。

 

公的介護保険のような現物給付であれば、このような欠点はありません。

おすすめの民間介護保険3選

朝日生命「あんしん介護 一時金」

朝日生命の安心介護シリーズは、以下の5つの特長をもった民間の介護保険です。

  1. 要支援2以上に認定で一時金を支払い
  2. 公的介護保険に連動して支払い
  3. 軽度認知障害を含めた認知症を手厚く保障
  4. 要介護1以上認定で、その後の保険料は支払い不要
  5. 終身タイプなら生涯の保障が準備される

なかでも「あんしん介護 一時金」は、まとまった一時金で介護に必要な多額の費用をカバーしてくれるタイプです。

 

要支援2以上で「軽度介護保険金」が支払われるほか、要介護1以上認定で保険料の払込は免除されます。

 

さらに、要介護3以上に認定された場合は「介護一時金」が支給されるなど、要介護度の数字が大きくなるほど手厚い保障が受けられるようになります。

アフラック「スーパー介護年金プランVタイプ」

アフラックのスーパー介護年金プランVタイプは、将来のニーズに合わせて保障を選べる民間介護保険です。

 

他社にないメリットとして、以下の2点があげられます。

  • 介護以外にも「高度障害」まで保障
  • 65歳時点で必要な保障が選べる

65歳までは「認知症」「寝たきり」による所定の介護状態になった場合や、所定の高度障害状態になった場合に一時金や年金が支払われます。

 

また、65歳になった時点でライフスタイルに合わせて「介護保障プラン」「公的介護保険制度連動プラン」「確定年金プラン」「一時金受取プラン」を選択することが可能です。

 

たとえば「確定年金プラン」では65歳から確定年金を受け取ることができ、「一時金受取プラン」なら65歳の契約応当日前日に解約すれば65歳に一時金を受け取ることができます。

 

65歳時点での自身の健康状態に応じて、柔軟にプランを選択できるのが強みです。

明治安田生命「介護のささえ」

介護のささえは、満40歳から80歳6ヶ月までの人が加入できる民間介護保険です。

 

以下の3つの特長があります。

  1. 要介護3以上に認定された場合、生涯にわたって介護終身年金が支払われる
  2. 死亡給付金を介護終身年金額の5倍と1倍から選択できる
  3. 特約を付加してさらに手厚い保障を得られる

給付の条件は公的介護保険と連動しており、要介護3以上になれば介護終身年金を受け取れます。
また、介護一時金保障特約を付けることで介護一時金を得ることも可能です。

 

用意されている特約は以下の3つで、ご自身の希望に合わせて柔軟に主契約をカスタマイズできます。

  • 介護一時金保障特約=所定の介護状態・死亡で一時金を給付
  • 軽度介護一時金保障特約=所定の軽度要介護状態・死亡で一時金を給付
  • 軽度介護保険料払込免除特約=軽度要介護状態に該当したあと、条件を満たすと保険料の払込が免除

まとめ

今回は公的な介護保険と民間介護保険の違いと、民間介護保険の必要性について紹介しました。

 

公的介護保険によって介護サービスの自己負担は1~3割に抑えられるため、民間の保険は不要と考えている人も多いのではないでしょうか。

 

しかし実際には要介護・支援状態ごとに上限額が決まっているため、上限額を超えた場合は全額が自己負担になります。

 

金銭的な安心を得たいのであれば、民間の介護保険も検討してみましょう。